モード変更


    言語

サンキュー、XP。サンキュー、XP祭り。 - XP祭り2026に参加してきました

2026/09/18

モンスターラボのエンジニアリングマネージャーの奥田です。

現代のソフトウェア開発は生成AIの進化によって大きく変わってしまったように見えます。 しかし全て変わってしまい、これまでの知識や考え方は全く通用しなくなってしまったのでしょうか。 ソフトウェア開発の何が変わって何が変わっていないのか。ソフトウェア開発における普遍的な価値とはなんなのか。 その謎を解明するためXP祭り2026に参加してきました。

XPとは

XPはeXtreme Programming(エクストリーム・プログラミング)の略で、高品質で変更に柔軟に対応できるソフトウェアを開発するためのアジャイル開発手法の一つです。 XPはスクラムとは異なり開発サイクルやバックログ管理には詳しく言及していないため、プロジェクトにそのまま適用するのは難しい印象があります。 しかし、ペアプログラミング、継続的インテグレーション、テスト駆動開発などのプラクティスは現代のソフトウェア開発で広く取り入れられており、間接的にXPを実践している組織も多いと思います。

XP祭りとは

XP祭りは、日本XPユーザグループ(XPJUG)が主催しているイベントで、2002年より毎年秋に開催されています。 2026年は9月5日(土)にオンラインとオフラインのハイブリッドで開催され、オフライン会場は横浜にある三菱電機さんのオフィス、Serendie Street Yokohamaでした。

イベントページ: https://fortee.jp/xpfest-2026

印象的だったセッション

基調講演: サンキュー、XP (角 征典)

基調講演は、多くの書籍の翻訳を手がけておられる角さんでした。私も「リーダブルコード」、「メタプログラミングRuby」、Cleanシリーズなどの翻訳本を読ませてもらってます。 講演は「サンキュー、チャック」へのオマージュで現在→全盛期→過去と時系列を逆に辿る全3部で構成され、表層的なXPへの理解から徐々に本質を掘り下げていくものでした。

映画に関する深いサンプリングもあり、90分間と長丁場でしたがとても楽しく拝聴さしていただきました。でも、一言でXPが何か、っていうのは言い表せないなと思いました。 引用を用いて説明されること、「シンプリシティ」における「agency(行為主体性)」や「simplicity」も、ソフトウェアクラフトマンシップ宣言や「Clean Craftsmanship」における「プログラマーの誓い」も、XPの5つの価値も、プログラマやソフトウェア開発の文脈ではあるけど、人類が尊厳を持って生きるために重要なものを言葉を変えて表現しているものなんだなと思います。 全編を通して"XP contains multitudes"が一つのテーマだったと思いますが、それはソフトウェア開発が人類の営みなのであって、つまりオマージュ元の"I (人間) contain multitudes"ということなんだなと納得しました。

スライド: https://kdmsnr.com/slides/20260905_xp

XPについて語るときに私たちの語ること (関将俊、深谷美和)

Ruby CommitterでありdRubyの開発者でもある関さんとeXtremeテスター深谷さんのセッションでした。 XPの方法論について具体的に触れられたわけではないものの、25年所属された「あのチーム」を離れて新しいチームに所属されても、いつも通りソフトウェアを触って(テストして)、チームと関わっていたらまたいい感じになったというお話でした。 再現性があったのは、元のチームメンバーの考え方や相性もあったと思いますが、お二人のプロダクトをより良くしたいという、意識とか考えとも違う、もっと根本的な気持ち(当たり前)だから浸透したんだろうなと思います。 忍者式テストの「全部テストする」とか、「マニュアル見ながらテストしてても問題に気づけない」という言葉とかはそういう当たり前の中から出てくるものだなと思います。 それはそうというのはわかるけど、実際そこまでできるかというと、みたいな現実的に見えて建設的でない気持ちの背筋をピキッと伸ばされました。

スライド: https://speakerdeck.com/m_seki/what-we-talk-about-when-we-talk-about-xp

まとめ

ソフトウェア開発の方法論やツールは生成AIの進化によって大きく変わりました。それは間違いないです。 一方で人が作り、人が使うという本質が変わらない以上、ソフトウェア開発(に限らずプロダクト開発全般、さらには人類の営み)の核となる部分は普遍だなと実感しました。 人(仲間や顧客)を信頼・尊重し、良いコードやプロダクトを作るための努力を怠らず、世の中をちょっと良くする取り組みを続けていく。 それを続けていこうと思える良い機会となりました。サンキュー、XP!サンキュー、XP祭り!

終わりに

私は今回XP祭りに参加するために島根県松江市からサンライズ出雲(!)に乗って横浜まで行きオフライン参加しました。 モンスターラボでは知識やスキルの向上のためにカンファレンスやコミュニティ、勉強会への参加を積極的に支援しています。 そしてより良いプロダクトの開発に一緒に取り組む仲間を募集中です!

求人ページ: https://monstar-lab.com/jp_ja/careers

xpagile

Author

Shuhei Okuda

Shuhei Okuda

エンジニアリングマネージャー/バックエンド/テックリード

電機メーカーのソフトウェア開発部門、SIerを経て2019年1月にモンスターラボ入社。バックエンドチームのエンジニアリングマネージャー。プロジェクトではテックリードとして主にバックエンド開発やインフラ構築を担当。2児の父。好きな音楽のジャンルはジャズ、ラテン、アフロ、ダブなど。

その他おすすめ記事

2026/07/30

AI-DLC実践ガイド: AWS提唱のAI駆動開発ライフサイクルを現場で回す【実測データ公開】

AI-DLC(AI-Driven Development Lifecycle)とは、AWS が 2025 年に提唱した、AI エージェントを前提に開発ライフサイクル全体を再設計する方法論です。「AI にコードを書かせる」の一歩先、つまりチケットの粒度・品質ゲート・計測までをまるごと AI 前提に作り替えます。 日本でも Developers Summit 2026 Summer のセッションなどで注目が集まっていますが、公開されている情報の多くは概念紹介にとどまっています。本記事では、Monstarlab...

Yoshiaki Sano

Yoshiaki Sano

Architecture

2026/07/07

FastAPI × Diffusers でローカル完結の「顔属性変換」学習アプリをつくる

生成 AI を「使う」だけでなく「アプリに組み込む」とどうなるのか。これを手を動かして理解したくて、人物写真をアップロードすると顔の属性(性別的な見た目)だけを別の性別に変換する学習用 Web アプリを個人で作りました。外部の画像生成 API には一切頼らず、推論まですべてローカルで完結させているのが特徴です。本記事では、その構成と実装上の判断、つまずいた点を技術寄りに整理して共有します。 なぜ「ローカル完結」にこだわったのか 顔写真は最もセンシティブな個人データのひとつです。学習目的とはいえ、自分や知人...

Ryuji Takano

Ryuji Takano

Machine Learning

サービス開発実績会社情報
採用情報インサイトお問い合わせ
© 2022 Monstarlab
情報セキュリティ基本方針個人情報の取り扱いについて個人情報保護方針