AIでコードを書くのは速くなった。一方で、仕様決めのAI壁打ちには少し飽きてきた。同じように感じている人、いませんか?
「これどう思う?」と聞くと丁寧に答えてくれるし、「他の案は?」と聞けば、3つくらい出してくれる。非常に便利になったと理解しています。
でも、なんだろう、このインタビューしてる感。自分がずっと聞き手で、AIがずっと回答者。1対1の問答がずっと続く。
この記事では、BMAD-METHODと呼ばれる、ディスカッション形式でAI駆動のアジャイル開発を進めるOSSを活用し、これらの課題を解決する方法について紹介します。
チャットで育った世代の違和感

思えば自分たちの世代は、Slackなどのチャット文化で育ってきたと思っています。
誰かが発言すると、別の誰かが「いや、それよりこっちじゃない?」と返す。そこに第三者が「両方試せばよくね?」と入ってくる。
同意された時、ひどく批判された時、色々ありましたが、あのテンポ感が自分には合っていました。
あのザワザワした感じの中でこそ、アイデアが磨かれてきた。
なのにAIとの対話は、壁に向かってボールを投げているような感覚。
返ってはくるけど、いきいきとした会話がない。
BMAD-METHODという選択肢

BMAD-METHODは、AI駆動のアジャイル開発フレームワークとして作られたOSSです。
ざっくり言うと:
- PM、アーキテクト、開発者、UXデザイナーなど12以上の専門エージェントが定義されている
- 分析 → 計画 → 設計 → 実装の4フェーズが型として用意されている
- 各フェーズで適切なエージェントが登場し、ディスカッション形式で進行する
正直に言うと、Claudeに「PMの視点でレビューして」と頼めば同じようなことはできます。
BMADの価値は、それを毎回自分で考えなくていいところ。レシピ本みたいなものです。料理の腕(AI)は同じでも、手順があると失敗しにくい。
上述のような価値は大事です。しかし、私が一番注目しているのはそこではありません。
BMADはペルソナを設定することで、AIの中に疑似チームを作れる。PM、アーキテクト、QA...それぞれの専門家が、それぞれの立場で意見をぶつけ合う。
しかも、各ペルソナの性格やチーム全体の雰囲気まで自分で決められる。
慎重なアーキテクトと攻めのPM、みたいな組み合わせも自由自在です。
つまり、自分の手元にあっという間に理想のチームが出来上がってしまう。
採用も調整もいらない。これが壁打ちとは決定的に違うところです。
実際のディスカッションを覗いてみよう

では、BMADを使うと実際にどんな会話が生まれるのか。自分のターンが来るまで、チーム全員が勝手に会話を進めてくれるイメージです。
たとえば、タスク管理アプリを開発中にクライアントから「編集ボタンをつけてほしい」と要望が来たとします。
BMAD(ディスカッション):
PM:クライアントから「タスクに編集ボタンをつけてほしい」って要望が来てるんだけど
自分:了解、じゃあ編集機能つけようか
UXデザイナー:ちょっと待って。何を編集したいの?タイトル?ステータス?全部?
自分:えーと...聞いてないな。たぶん全部?
アーキテクト:全フィールド編集可能にすると、変更履歴の管理とか権限まわりが一気に複雑になるよ
ジュニアエンジニア:あ、それ僕が実装する側なんですけど...編集の取り消し機能とかも要ります?正直けっこう重いです
PM:そもそもなんで編集したいんだろう。タスクの書き間違いを直したいだけなら、作成後5分以内だけ編集可能とかでよくない?
UXデザイナー:あるいはステータス変更だけなら、ドラッグ&ドロップで十分だよね。わざわざ編集画面を開かせる必要ある?
QA:ちなみに編集機能つけると、テストケースが爆発するよ。権限×フィールド×状態の組み合わせで。本当に必要なら覚悟してね
アーキテクト:ドラッグ&ドロップなら実装もシンプルだし、APIも薄くて済む
PM:一回クライアントに「編集で具体的に何がしたいですか?」って聞き返した方がよさそうだね
自分:たしかに。「編集ボタン」って言われてそのまま作るとこだった。聞いてみるわ
コードを1行も書く前に、こんなやりとりが勝手に始まる。
1対1の単調なやりとりと違って、会話にリアリティが生まれる。
気づいたら没頭していて、アイデアに磨きがかかっている。
Slackで育った世代の自分にとって、これが何より大きなメリットだと感じています。
没頭できるから、アウトプットが変わる

壁打ちとディスカッション、やっていることは似ているかもしれません。でも体験がまるで違う。
壁打ちは「自分が次に何を聞くか」を常に考えなければいけない。
ディスカッションは、勝手に議論が転がっていく中で「お、それいいね」「いや、ちょっと待って」と参加するだけ。
この没頭感が、実はいちばん大きなメリットだと思っています。
集中のスイッチが入りやすい。
考えるべきことに集中できる。
結果として、アウトプットの質も上がる。「ツールの性能が上がった」のではなく、自分のパフォーマンスが上がる。そういう種類の改善です。
まとめ
BMAD-METHODは魔法のツールではありません。Claudeにできないことを可能にするわけでもない。
でも、AIとの協業を「壁打ち」から「チーム開発」に変えてくれる。チャット世代の自分にとって、それだけで十分に価値がありました。
壁打ちに飽きたあなたへ。一度、会議に参加してみませんか。



