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ソリューションアーキテクトについて知ろう。いい本が出たよ

2023/12/15

こんにちは、モンスターラボで Backend の Tech Lead をしている国平です。
前回の投稿から約1年ぶりの登場です。

先日、弊社ソリューションアーキテクト(以下、SAとも表記)である松下が執筆した 「ソリューションアーキテクトが起こす、小さな現場革命: 「炎上案件 ゼロ」を実現する上流工程の仕事術」 が Kindle Direct Publishing にて出版されました。

これまで、IT業界でアーキテクトというと、 システムアーキテクトを指すことが一般的だったと思います。
その影響か、ソリューションアーキテクトという新しい役割に対して、実態と期待値にズレが起こりがちだったように思います。
また、各クラウドベンダーもそれぞれの資格試験の中でソリューションアーキテクトという資格を設定しており、それもズレの元になっているように思います。
私自身、著者の松下がSAとして参画しているプロジェクトに配属されており、松下の参画当初はスケーリングやSLAなどプロジェクトの課題となっていたり、なりそうな点を考慮した、AWSの設計に踏み込み、そこで成果を出してくれることを勝手に期待してしまいました。
実際の著者の活躍と私が持っていた期待値のズレは、一緒に働く中で解消されましたが、本著を通してギャップなくプロジェクトにSAを迎えられるのではないでしょうか。

この本では、IT業界において比較的新しい役割であるソリューションアーキテクトについて、 著者自身の経験に基づいた解説がされています。 SAがやるべきこと、働き方、考え方がまとまっており、SAおよびSAを目指す人はもちろん、私のようにSAと一緒に働く人にとっても有用な本となっています。

プロジェクトにおいて、役割の責任範囲とその役割に対する期待値にギャップがあると、コミュニケーションやタスクの受け渡しがうまくいかず、プロジェクトの進行に淀みが発生してしまいます。 SAという役割が得意とする領域、責務を知り、業務における役割認識や期待値を揃えることは、円滑なプロジェクト進行の助けになります。

特に本書は価格・ボリュームも程よくまとまっており、ソリューションアーキテクトについて知りたい人向けの入門書としてとても良いと思いました。
しかも、Kindle Unlimited を契約している Amazon Prime会員は、本書を無料で読めます。めちゃくちゃお得ですね。

本の具体的な内容はぜひ本書を手にとっていただきたいのですが、今回はこの書籍が誰にとって有用なのかを紹介します。

1. 自身のキャリアパスに悩むエンジニア

この本の1章には、ソリューションアーキテクトが、キャリアパスのどの辺りの位置にいて、どういう人に向いているか、どういう人に向いていないか、が書かれています。 SAを目指す人はもちろんなのですが、SAを目指さない人も、一度手にとってSAというキャリアパスが自分にとってアリかナシかを判断するのに役立つと思います。

プロジェクトの進行においてスコープアウトの重要性は一般的に触れられますが、本書でも以下のように説かれています。

「やらないこと・できないことを決める」という作業も要件定義では非常に重要です。

人生設計においてもこれは同様かと思います。その点で、SAについて知って判断する機会を得られると思います。

2. ソリューションアーキテクトと一緒に働くプロジェクトメンバー

この記事冒頭で既に触れてしまいましたが、SAという役割に対して実態と期待値のズレを無くせます。 SAと一緒に働く人は、SAに何を期待できるのか、SAとしては何を期待されたいのかのすり合わせに役立つでしょう。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトを進める上で必要な能力に抜け漏れが無い様にチームの体制を組む必要があります。SAという役割が何をしてくれる人なのかを前提として把握して、さらに実際のSA個人が役割を越えたスキルを持っていて発揮してくれるのかを知ることが重要になるはずです。

また、他のプロジェクトメンバーにとっても、SAにどういったタスクをお願いできるのかを知っておくことは、ボールのパスミスを減らすという点で非常に役立ちます。

一緒に働くプロジェクトメンバーのことを知るために、ドラッカー風エクササイズのようなプラクティスが存在しますが、本書を読むこともその助けになるでしょう。

3. IT業界で働くジュニアやノービスといったこれからの成長に期待される人全般やその指導に当たる立場の人

本書には、SAに限らず著者がこれまで実践している仕事術・仕事への向き合い方・考え方がまとまっています。仕事術の専門書でない分、すぐに実践でき効果の大きいプラクティスが凝縮されていますし、SA以外の役割においても、著者の豊富な経験に裏付けされた仕事術は非常に役立ちます。

仕事術としては、当たり前のことが書かれているだけかもしれませんが、当たり前のことを全て実践するのは非常に難しいです。なので、 まずは 本書にまとまっている仕事術を身につけるところから始めると良いと思います。
と言いつつ、朝のお散歩など、のほほんとした仕事術も紹介されてます。何故お散歩が仕事に影響するのか気になる方はぜひ本書をお手に取ってください。

おわりに

私と著者は、同じプロジェクトで働いていると冒頭で述べました。 著者はいったいいつ本書を書く暇があったんだというぐらい、普段の業務でもパワフルに活躍されています。もちろん、働き方がパワフルなだけでなく、本書にまとまっている知見を存分に発揮して成果を出しています。 松下はモンスターラボのValueを体現し活躍している社員を四半期ごとに表彰するTHE BEST Monstars Awardにて、Do what's right賞を受賞しているモンスターラボ社員のロールモデルです。

そんな著者の経験と知識と熱意が詰まった本書をぜひお手にとっていただければと思います。

Article Photo by Olha Ruskykh

bookreview

Author

Kiyotaka Kunihira

Kiyotaka Kunihira

バックエンド/テックリード/スクラムマスター/エンジニアリングマネージャー

新卒でスマートフォン向け乙女ゲーム開発をしつつAWS, Scalaに触れ Scala忍者に。その後、スタートアップを2社経験して、2019年にモンスターラボに入社。 大阪オフィスに所属している2児の父。 去年、認定スクラムマスター資格取得しました。 最近は、エンジニアリングマネージャーとして中間管理職しています。

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